産後のキャリアアップと育児の両立

※掲載している事例はこれまで受けた相談を元に創作した内容です

■相談内容

義母と子育てについて意見が違い、困っています。義母は、ずっと専業主婦をしてきて4人の子どもを育ててきた人で、結婚した頃から、子どもができたら母親が近くにいないと子どもがかわいそう、とか、近所の家の働くお母さんを指して、泣く子を保育園に預けて働くなんて、子どもはいつもお母さんに(保育園に)行きたくないって、朝、家の前で泣いてるのよ、などと言います。
私も、これまでは端から見てると、小さな時に母親と一緒にいれないのはかわいそうだなとか、おばあちゃんよりお母さんの方がずっといいのに、と思っていました。でも、そう考えていたら、自分のキャリアアップは遠のいてしまいます。

夫に聞くと、お母さんは近くにいる方がいいんじゃない?と言いますが、でも働いてもらわないと困るとも言います。というか、のらりくらりです。そのことには関わりたくなさそうです。
義母の固まった考えを変えることに夫は役立たず、夫の兄弟3人は遠くに住んでいるので、なかなか話もできません。
何とか姑の考えを、三歳児神話を固く信じている姑からいつもぐちぐち言われないで働ける方法はありませんか。

将来のことであっても、同居する姑からいつも愚痴を言われたり、本当ならば子育てに協力してもらいたいと思っているのに、どう方向を変えていけばいいのか、分からずにいるのです。今のうちから、言葉かけや、態度など、何か効果的なことがありましたら教えてください。
義母は頑固で口が悪いので、仲良しというほどではありませんが、普段は普通に必要な話はします。
よろしくお願いいたします。

■内部のメンバー同士の意見交換(一部)
この内容は相談者には伝わっていません。「・」一つが1人のメンバーのコメントです。

・三歳くらいまでの間は、だれか安心して甘えたり、信頼できる大人がそばにいればいいのです。それはお母さんじゃなくてもいい。保育士でも、祖父母でも。母親が信頼している人に大事なあなたをお願いしている、ということが子供に伝わればいいのです。お姑さんがその役割を担ってもいいし、保育園でもいい。そのことを夫婦で話し合って、納得して働けばいいのです。

・お姑さんの考え方を変えるのは難しいと思います。下記のURLの記事にもあるように、それはお姑さんの成功体験であり、それを否定することはお姑さんの人生を否定することにもなりかねません。なので、お姑さんの考えは考えとして、それを面と向かって否定するのではなく、ご主人としっかり話し合って「私たちはこのように子育てをしていきたいです」ということを、言葉や行動で示していくのがよいのではないでしょうか。「のらりくらり」なご主人になんとか頑張ってもらいましょう。以下のようなサイトがありました。
■「三歳児神話」を信じた夫と姑が私に「仕事を辞めて専業主婦になれ」と言う
https://select.mamastar.jp/70834
仕事をしながら子育てをすることのメリットもたくさんあります。そうしたメリットをお姑さんにさりげなく話せる準備をしておくこともおすすめしたいです。

■回答メール

担当のワークライフコンサルタントのBと申します。
お義母様が、子育てというのは母親が子どもと一緒にいなくてはいけないこと、母親が近くにいないと子どもがかわいそうという考えを強く持っていらっしゃること、今後のキャリアアップを考えたときに本来ならお義母様に子育てに協力してもらいたいと思っているのに考え方が違うため、どのような方向性で考えを進めていけばいいのかわからない、というご相談と承りました。

お義母様自身が、専業主婦として4人の子どもを育てあげたことを正しい子育てと思われていらっしゃるということですが、このような考え方は、当時の時代背景も関係していると思われます。当時は、働きながら子育てをするという女性が少なかったでしょうし、今ほど子育てのサービスや考え方が充実していなかった時代でもありました。
しかし、現在は当時と大きく変わってきていて、どちらかというと働きながら子育てをしている女性は珍しくありません。母親が自分の気持ちを抑圧して子育てをしたときの子どもの健全な発達との関係、そして、いわゆる三歳児神話は合理的な根拠がないものとして研究結果も出ています。
子どもは三歳くらいまでの間は、誰かに安心して甘えたり、信頼できる大人がそばにいることがまずは大切と考えます。それは、母親でなくても良く、保育士でも祖父母でも良いのです。
つまり、母親が信頼している人に大事なあなたをお願いしている、ということが、子どもに伝わることが大事なことなのです。

ご主人様は、「母親が子どもの近くにいるほうがいい。でも(妻に)働いてもらわないと困る」とおっしゃっていることから、 子どもが生まれたあとはやはり保育園などに預ける必要があるという考えを少なからず持っていると伺えます。このことを踏まえつつ、ご主人様と一度お子さんが生まれた後のことについて、具体的にどうしていくのが良いかご相談され、子どもをどう育てるかを、夫婦で決めることが大事だと考えます。
そして、お義母様には、ご主人様とご相談をしたことをまとめてから「夫婦の考え」として、お伝えしてみてください。

また、お義母様との関わり方についてですが、先に申し上げたように、お義母様の育児をしていた時代と今は違います。ただ、時代が違うからといって、その考え方ややり方を否定してしまうのではなく、やはりお義母様は子育てについては大先輩であることは事実ですので、子育てでわからないことがあれば、積極的に聞くなどして、お義母様を頼りにしているという姿勢を日ごろから少しずつ表していくことが良いでしょう。
そのようにコミュニケーションしていく中で、お義母様にそれとなく働きながら子育てをするメリットをお話ししていかれると良いかと思います。

例えば、以下のようなことがメリットとして考えられますので、参考にしてみてください。
・育児のみの生活だと、社会との接点が減って生活のメリハリがなくなる
・外に出る(働く)ことで、時間の使い方など、効率を意識した毎日を過ごせる
・忙しい母を見て子どもが進んで手伝いをしようとする意識が生まれる
・経済的な安定が得られ、習い事などの機会を与えられる
・子どもと触れ合う時間が減ってしまうが、その分一緒に居る時間を大切にできて子どもと向き合える

お義母様は働きながら子育ての経験がないため、否定をするかもしれません。
でも、育児を疎かにするわけではなく、子どものこともしっかり考えたうえで働いていきたいという気持ちをお話していけば、お義母様にもきっと伝わることと思います。

今回は以上となります。また何かありましたらいつでもご相談ください。