子育てと仕事の両立について

※掲載している事例はこれまで受けた相談を元に創作した内容です

相談内容

はじめまして、今後の子育てとキャリアについて悩んでいます。

4年前に大学の同級生と結婚して、先々月妊娠しているのが分かりました。
夫婦で大喜びしたのですが、出産後について急に不安が押し寄せてきています。
子育てができるのかという漠然とした不安です。私は大手メーカーのシステム部にいて管理職昇進を目の前にしています。

これまでも様々な研修を受け自己研鑽もして努力してきました。出産や子育てでキャリアを崩したくありません。
会社では育休制度があり、出産後1年は休め時短制度もあります。
しかし時短制度を選んだ女性職員で管理職になっていった人を周りで見たことがありません。

また、出産や子育て自体も、どれくらい大変なのか想像がつきません。
夫とも相談していますが進展せず、また会社にもどのように相談して良いかも分かりません。

会社の上長に相談する前に、自分の子育てをどうしたいのか改めて考えてみる必要があるのかとも思っています。

回答メール

初めまして、メールをありがとうございました。まずは新しい生命の誕生を心からお慶び申し上げます。

初めての妊娠・出産は誰にとっても、期待と不安が両方入り混じることは自然な気持ちであると存じます。
また今まで努力を重ねていらしたキャリアにどのように影響がでるか心配になることも、一生懸命にお仕事されてきたからこそではないかと思います。

ご相談の内容を確認させていただきますと

①今後の子育ての不安を軽減するためには自分の育児観を再考する必要があると思っているが、具体的に何を考えればよいかが漠然としている。
②仕事と子育ての両立するために会社の上長に相談しようと思っているが何を相談してよいか分からない。

大きく分けると上記の2つでよろしいでしょうか。

①の事柄に対して まず妊娠が分かったときに「夫婦で大喜びした」ことは大事なポイントであると思います。大喜びした出来事であるからこそ、様々な不安や考え事が出てきていると言えます。この大事な節目がスタートしたことを認識し、これから一歩づつ新しい経験を積んでいくとお考えください。「親」というものは悩みがつきないと言われますが、そのスタートを切られたとも言い換えられると思います。

ひとつ申し上げられるのは、仕事と子育ての大きく違う点は、子育ては先々の計画が立てにくいということがあるかと思います。

一人の人間を育てていく上で、親の気持ち以上に、例え相手が赤ちゃんであっても「相手」であり、そこにはひとりの人間としての気持ちがあります。そこに寄り添うためには、自分で何もかも計画を立てて決めてから進むという方法よりも、時の成り行きで自然に任せるといった考え方や行動が必要となります。

今の不安があることも自然なことですし、不安があるからといってしっかり計画が立てられるわけでもなく、漂うようにお腹の中の赤ちゃんの成長を見守ることしかできないとも言えます。

ただ、これは決してマイナスなことではなく、これから赤ちゃんが大人になるまでなるべく「自然でいる」という姿勢を親が持つことは、子育てを楽にし、また親子関係をよくする秘訣にもなります。

また「自分の子育てに対する考えを見直す」一方で、再度ご夫婦で、赤ちゃんを授かった喜び、不安を話しあう機会を持たれるのも漠然とした不安軽減になるのではないでしょうか。すぐに答えがでることばかりではないかもしれません。しかし子育てがいちばん夫婦の会話を増やす手立てかもしれません。
ご夫婦で相談していくこと、「自分はこのように子育てに対して思っているけれども」と自分の思いを表現する機会になります。アウトプットすることで自分の考え方に再認識できることも出てくるかとも思います。
また、川村様がどのように考え、感じているかをご夫婦で共有することは子育てをこれから二人三脚で進めていくうえで基盤になるのではないでしょうか。

②の事柄に対して
今までは川村様の周りに、時短勤務を選ばれ管理職になった方がいらっしゃらなかった、先例がないことも不安にひとつになっていらっしゃいますね。

しかし今は以前とは時代が変わってきているのではないでしょうか。
人材不足、女性の管理職推進、女性活躍推進、育メン、育ボスのような単語も頻繁にテレビ、新聞、様々な分野の雑誌で取り上げられています。川村様の会社でも今までとは違う取り組みをされている可能性があります。

まずシンプルに、いま現在の状態を報告することから始めてみたらいかがでしょう。
妊娠したこととともに、仕事もとても大事に思っている旨を率直に伝えることをおすすめします。人材不足の中、そして女性活躍が広まっている中で、会社側も考える機会になるでしょうし、何より「会社側に伝えていない、何から話せばよいのだろう」という不安はひとつ減るのではないでしょうか。

また、人事労務制度の多くは申請主義といって利用者側から申請しないと受けられないものが多くあります。
実際育休取得も申請主義に基づいています。世の中の仕組みと会社にある制度を今の機会に調べることをお勧めします。

子育てをするということは、仕事や自分の時間は削られ、その分周囲より遅れを取るような感覚を持つかもしれません。
でもその一方で、他の人が経験出来ない大事なことを鍛錬していく機会にもなります。

例えば子どもの体調管理、他のママ友達との交流、保育園の先生に何かをお願いすること、子どもの教育、学校の先生とのやりとり。
子育てのお金のやりくり、保護者会での役割。これらを、「子育て」という一大マネジメントとして自分のノウハウが積み重なると考えてもいいかと思います。こうした調整力、段取り力、忍耐力はその後の仕事でも大いに役立つと考えています。

お仕事についても妊娠についても丁寧に向き合われているからこそ、不安が募る時期なのでしょう。
しかし今までも人生の節目は不安を持ちながらも乗り越えているのではないでしょうか。
今回もゆっくり、お体を労りながらお母さんになる準備をしてみてください。

またいつでも不安点、不明点がございましたら、ご連絡いただければ幸いです。