調子が悪くなった母の今後について

※掲載している事例はこれまで受けた相談を元に創作した内容です

相談内容

クミと申します。50代の女性です。母が3年前に末期がんを宣告され、在宅療養をしています。
全身転移をしており、服薬治療を行っています。

特に最近は体調を崩して寝込んでおり、訪問診療に切り替えています。

医師からは余命6カ月ぐらいだろうと言われました。
このまま在宅で看取ることは可能でしょうか。

本人がそう希望しておりますし、できらた思いを叶えてあげたいのですが、
私はフルタイムで働いているので母のそばにずっと付き添う事は困難です。
どうしたら、看病ができるのか、全く分かりません。

やはり施設を探した方がよいのか、それとも何とかなるのか、
アドバイスをいただければと思います。

回答内容

この度はご相談をお寄せいただき、ありがとうございます。
今後のお母さまとの生活をどのようにされたらよいのか、ご心配ですね。
これまでもフルタイムでのお仕事をしながらの看護は、大変なご苦労があったのではないかとお察しいたします。

ご相談の中にある「このまま在宅で看取ることは出来るのでしょうか。」についてですが、在宅でお看取りすることは可能だと考えます。ただ、そのためには主治医や看護師、ご家族の方がすぐに駆けつけることのできる状況にする必要があります。

まずは主治医や訪問看護師、ケアマネージャーと在宅で出来る事と出来ない事、急変時の対応、有料老人ホーム(施設)や病院に入院した場合との違いを等の話合いをすることが先決でしょう。
それぞれどのようなものなのかを、簡単ではありますが説明させていただきます。

『在宅』
24時間体制の訪問診療、訪問介護、訪問看護ステーション等を利用することが出来ます。
ご家族が不在の時間帯に定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用することで、短時間ではありますが不在時の対応が可能となります。これら組み合わせは担当のケアマネと相談して決めていくこととなります。
ご自分の意志をしっかり伝えてより良い体制を整えていただきといと思いますが、その具体的な点でご質問があればまたどうぞ、ご連絡ください。

『施設(老人ホームや病院等)』
スタッフが常駐しているため、急なご状態の変化に対応しやすいことや、変化があったときのご家族への連絡が早いというメリットがあります。細かい点については、施設や病院によって異なります。
余命が短い緊急な状況では普通ですと数百人もの待機者があるような特別養護老人ホームでも優先的に入居できる場合がありますが、それでもお仕事をされている中で見つけていくことは少しその時間を確保する覚悟が必要かもしれません。

また、今の状況の中で、お母様とのお時間を大事にされたいとお考えでしたら、介護休業・介護休暇の取得を考えられてはいかがでしょうか。もう既に取得されていらっしゃるのかもしれませんが、こちらについてご説明させていただきます。

『介護休業』
要介護状態にある家族を介護するために、合計93日(例えば3回に分けて31日ずつ取得する等)を上限として休業することができる制度です。
休業期間中の賃金は、雇用保険法による介護休業給付金として受けることができます。
企業によってはこれより長い期間を設定しているところもありますので、就業規則等を確認してください。

『介護休暇』
こちらは平成21年の法改正により出来た制度です。
要介護状態の家族(対象は介護休業と同様)の介護、通院の付添い、介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行等を行う方は年5日を限度として、休暇を取得できます。

また、これらの事柄を踏まえて、熊谷様のご兄弟、お母様のご兄弟、ご親戚の方々にもご相談され、家族として、お母様にしてあげたいことを話合われてはいかかでしょうか。

一般的に、病気が進行していくにつれて、ご本人と話が出来る機会が減っていきます。
そのため、ご本人が穏やかに好きなことをし、ご家族との良い時間を早く作り出すことが大切になります。
それは、ご自宅や施設に限らず、どのような場所であっても同じことです。ご本人とご家族の双方に「今日は良い日だった」と思える日を一日でも多く作ることを当面の目標としてみてください。

これからの時間についてお母様と話し合い、可能な限り良い時間を過ごされるよう願っております。